今年の紅葉は、あっという間の出来事だった。軽井沢での暮らしは10年になるが、雲場池のもみじが、あれほど艶やかな紅だったことはない。また、落葉松が一気に黄金色に色づき、瞬く間に落葉した年もなかった。そこに子育ての慌ただしさも加わったから、早足でやってきて去っていった今年の秋が、いつもより名残惜しいものになったような気がする。
秋を終わったと言える理由のひとつは、なんといっても浅間山が冠雪したことだ。まだそれは薄らとしたものだが、雪を冠った山が運ぶ風は冷たく、裾野に暮らす私たちに冬の到来を報せ、この時期特有の緊張感をもたらす。

さぁ、この冬はどんなものになるだろう。厳しい寒さと引き換えに、またあの美しい白銀の生活に入る。

早朝の雲場池

朝日に照らされた我が家の楓

今はもう、シャープな光だけが差し込むリビング。こんな風に、葉のざわめきが聴こえた日が懐かしい。