2014年1月18日土曜日

黒の装いを愉しむ

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マイナス10℃以下の厳しい寒さが続く軽井沢だが、18時をまわってこの青さ。少しずつ、日が延びてきていることを実感する。

都会暮らしをしていた頃は、この時期になるといち早く春の柔らかな色を纏うことを、ささやかな楽しみにしていた。が、ここ軽井沢ではその時相当の装いでいることが、着ている本人も眺めている側も安心なのだ。冬の間の私の楽しみ、いや愉しみは、なんといっても”黒”を装うことである。

黒い服を着ることがなぜ嬉しいのか?特別なのかと言うと、それには理由がある。夏が近づいてくると、蜂。玄関から一歩出ればそこは自然界。木々の芽吹きとともに小さな虫が活動を開始し、それを餌にする蜂がコロニーを作り出す。割と静かなクロスズメバチでさえ、黒い服や車には本気で威嚇してくるから怖い。そして、熊である。しかし、熊も蜂も、冬の間は冬眠してくれる。”郷に入っては郷に従え”これが、自然界と仲良く、気持ちよく暮らすためのルールである。

今日も私は、上から下まですべて黒装束であった。黒という色の持つ奥深さに魅せられると、いずれ大変なことになる(安物では済まなくなるから)とわかっていながら...。

2014年1月10日金曜日

ダイヤモンドダスト

今日は、この冬一番の冷え込みだったかもしれない。一昨日は春のような湿った雪が降り、粉砂糖と言うより、もっと硬いアイシングでデコレーションされたような木々が作り出す風景に、おとぎの国を見た。大人も子供も、厳しい寒さを忘れてその眺めにうっとりしたことと思う。

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だが、寒波というのは、だいたいこのような暖気の後にやってくる。今朝はマイナス12℃、場所によっては15℃くらいまで冷え込んだと思われ、お昼を過ぎても氷点下のままだった。よく晴れているから、マイナス1、2℃なら問題はない。しかし、今日の場合は最高がマイナス5℃!である。ここまで冷え込む日は、そうそうない。いつもはスノーブーツを持ち出して「外へゆこうよ!」とせがむ子供が、不思議だ。家の中で静かにしている。

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そんなわけで、今日は午前中いっぱい、温室のようなリビングからダイヤモンドダストの煌めきを眺めることができた。この時期の軽井沢の寒さは真に厳しいものがあるが、今日のような美に遭遇すると、自然の中で暮らしてゆくことの醍醐味を感じずにはいられない。もうすぐ、と言ってもこれからが長いのだが、本格的な寒さの峠は越す。

2014年1月8日水曜日

金婚式によせて

この春、旦那さんの両親が結婚50周年を迎えるのだという。そこで、正月の宴の席を借りて、ささやかな金婚式のお祝いを行った。

こども造形教室を開いている弟からは、夫婦の自画像を。金婚式にちなんで、キャンバスに金箔を敷き詰めてから描いたそうだ。

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幼い頃から絵を描くことが好きで、東京芸大の油彩科にストレートで合格(受験者数2000人から、合格した60人のうち男性は彼ひとり)したその実力は、今なお健在!

近くのスタジオへ行き、親子三代揃って記念撮影。その後、ケーキに5と0のキャンドルを灯して、もう一度お祝いをした。

一口に50年と言っても、それはそれは毎日のお天気のように、様々な局面に遭遇したことと思う。そして何より、同じパートナーと半世紀ものあいだ生活を共にしてきたというだけで、凄みがある。私たち夫婦は、もうずいぶん長いこと一緒に暮らしている気がするけれど、まだ14年…。そう考えると、人生のパートナーとしては、まだまだひよっこ。始まったばかりなんですね。

定年後、父は庭師へ転向。

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母は、趣味である木目込み人形づくりを、職人の域にまで到達させた。

二人とも、生まれ故郷の九州を後にした”努力のひと”であり、人生には無駄なことなど何もないことを教えてくれる存在。私たちも、これから11年後(今はとても想像できない未来だけど)の銀婚式を、子供と共に健やかに迎えられたら素敵。

 

2014年1月1日水曜日

新しい年をまたここで

昨年に引き続き、星のや 軽井沢で新年を迎えた。集いの館 メインダイニング嘉助の特等席に腰掛け、日本の憧憬を丁寧に歌い上げたアカペラを間近に聴きながらという、贅沢なスタイルで...。

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我が子は21時頃からベッドですやすやと眠ったまま。傍らには旦那さんが一緒に寝てくれている。当初は家族揃って”その時”を迎えようと思っていたのだが、こちらの都合で無理矢理寒い外へ連れ出すのは酷である。そんなわけで、私にサプライズが舞い降りたのだった。一年の締めくくりに、人々が同じ場所に集っているという不思議。老若男女関係なく、そこに知り合いがいるわけでもない。しかし、一緒にいると自然と一体感のようなものができてきて、なんとも心地よい空気が生まれてくる。あぁ、だから私たちも、また此処に来てしまったのだ。

おそらく、ただひとつとして同じものはないのだろう、星のやの年末年始。趣向を凝らした演出が嬉しかった。

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小さな子供がいるというので、用意してくれたのだと思う。内湯に浮かべて楽しむ、さかなすくい。檜風呂に合わせて木製を選ぶところがいいな。

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水辺に浮かぶ紅白の行灯が、艶やかな新年を感じさせて。年末年始は寒さも和らいで、例年より雪も少なく、一見冬の終わりのような眺めではあったけれど、足下が凍っておらず安全というのは、とても快適な滞在であった。

大人だけの暮らしでは、なかなか見えてこなかった一年という時間。だが、子供ができたお陰で、時間というものが鮮明に見えるようになってきた気がする。私自身も一日を大切に、丁寧に生きてゆきたいと思う。2014年もBone conduction life 軽井沢おいしい暮らしを、どうぞよろしくお願いいたします!