雨上がりの火曜日は、友人を招いてBBQを行った。ホームパーティはもう数え切れないほどしてきたが、 デッキを使うスタイルは今日で三回目、三度目のBBQだ。
一年目の夏は、軽井沢に別荘を持つ知人や、そこで一夏を過ごす子供連れの家族が飛び入り参加。小学生や離乳食を食べ始めたばかりの赤ちゃんもいて、子供がいる毎日って賑やかでなかなか楽しそうだなーなんて感じていたものだ。そして、昨年は再び大人だけのBBQに戻り今年は、自分が産み落とした幼子が加わったのだから、私としてはちょっと特別。軽井沢らしい夏日になることだけを祈りながら仕込みを終え、その日を迎えた。
肌寒いくらいの、秋の気配が漂う朝だった。山紫陽花は首を垂れ、代わりにギボウシの瑞々しい薄紫色が彩りを添えるエントランス。そして、道端に突如として現れた背の高い大輪の山百合が、人以上の存在感を発しながら、日を浴びていた。
今日だけは玄関ホールを開け放つとしよう。虫が入っても構わない。ドアの音はない方がいいから...。
顔ぶれが30代以上なら、それは量より質ではないだろうか。目指したのは、厳選した肉に地物の新鮮な野菜をたくさんという、シンプルだがこれ以上の贅沢はないBBQ。昨年から野菜作りを始めたご近所さんに駐車スペースを借りたいと申し出ると、ならば朝どれの野菜を届けるからと言う。なんとも嬉しい心遣いである。
信州和牛のサーロインは塊で買い、牛刀でスライス。炭火ではなく鋳鉄の鍋で焼いてクレソンとともに。
昨年好評だった桃のスペアリブ。今年はマンゴーで香りづけした後、オーヴンでじっくりとグリルして。
つまり、炭火は野菜とソーセージを焼くために熾し、肉はキッチンで調理するのがベストと三度目にして気がついたのだった。我が子はまだまだ母乳と少しの離乳食で、私たちが食べるのを終始指をくわえて眺めていたが、真の美味しさのわかる人に育てていけたらと思っている。
10年の歳月を経て、庭は想像以上に成熟した。 リビングから私道を行き交う人や車はよーく見えるのに、私道からこちらの様子は緑の中で透けて見えるくらいだ。人と植物、そして愛車とのいい関係が築けたのは、室内空間を削って広いデッキを設えたお陰でもある。