2011年10月31日月曜日

北陸の味覚を味わいに

越後湯沢から、特急はくたかに乗って金沢へ。そこから更に足を伸ばして、加賀は山代温泉へと向かった。
時刻は12時少し前。車内でスナックに手をつけなかった理由はここにある。久しぶりの北陸旅はやっぱり寿司からだろう。

評判を聞いて、はじめて入った亀寿司さん。小さなお店だけどセンスが良く、カウンター越しに心地よい緊張感を味わいながらおすすめを一通りいただいてゆく。その後は、地元のネタに舌鼓。今が旬のバイ貝に、何ともいえないコクが後を引くガス海老、そして、締めはズワイガニのメス 香箱蟹だ。

ここ山代温泉は、魯山人が陶芸を学んだことで知られる場所。彼が8ヶ月に渡って滞在していた住まいを訪れてみる。いろは草庵といい、現在は町が管理しているようである。母屋と蔵とを結ぶように増築されたモダンな空間は、よく手入れがされた箱庭を望むにはぴったりで、お茶と和三盆の菓子をそっとサービスしてくれたことも嬉しい。名前の通り庵のある間もあり、加賀の豊かな食材を囲む旦那衆の背中が目にうかぶよう。蔵には、陶芸の師匠である初代 須田精華の繊細な作品や魯山人自身が作陶した皿などが展示されていた。

今宵の宿は白銀屋。ここも魯山人ゆかりの宿であるが、温泉の泉質が素晴らしいことと、料理がすこぶる美味しいことが気に入っている。

翌朝は、部屋の露天風呂でリフレッシュ。加賀を後に、初めての金沢へ向かう。

金沢は大きな街であった。駅からしてこのスケール。

近江町市場では、昨日いただいた北陸のうまいもんがズラリ!ノドクロ、ガス海老、万十貝。アカイカにエテガレイも新鮮で破格だ。珍しい加賀野菜は目にも鮮やか。今は五郎島金時が旬だという。昼食はまた寿司。市場の中の回転寿司だったが、ネタのレベルは軽く築地を超えている。しかも、リーズナブルで言うことなしだ。

いやはや、北陸出身者が東京に少ない理由がわかった気がする。金沢は城下町。昔ながらの武家屋敷が立ち並ぶ長町を歩いてみよう。テナントとして貸している家もあるが、そのほとんどは現在でも住まわれているから、生きた美しさが感じられる。小学校の校舎もステキだが、登下校する子供達が制服を纏っているのも好印象。公立だけど制服、私もそうだったので親近感がわいた。

そんな長町で、いろり草庵でお茶請けにいただいた美味しい菓子と遭遇。試食した途端に、これだ!と思った。うちはまだ若い店なので…と店主は謙遜していたが、素材へのこだわりとこのパッケージのモダンさだ。次の時代を担うのは、伝統の中から生まれた、このような姿をしたものなのかもしれない。

はじめての金沢を私はかなり気に入ってしまったようだ。11月からは本格化に蟹のシーズンに入り、まさに北陸はオンシーズンに入るのだとか。これからも、秋になったら毎年のように北陸の味覚を味わいに出かけてみたい。新幹線の開通も楽しみだ。

2011年10月15日土曜日

錦秋のはじまり

朝晩の冷え込みが、木々の色づきを加速させている。リビングからの眺めにも芳醇な色が加わって。




いつの間にここまで紅葉したか、近くの大きな楓。




色づいた葉の色や形に目を奪われた後は、その木の実(種)にも注目したい。ツリバナ、マユミ、北国に春を告げたコブシ実はちょっとグロテスク。











そして、やさしいピンク色の葉が美しいこの木は、たぶんウワミズザクラだろう。軽井沢に初夏を告げた花が立派に実をつけていた。




今となっては、このような豊かな雑木林は貴重かもしれない。それはここ軽井沢でもである。




林の淵で、木の枝に作られたスズメバチの巣を見つけた!びっくりした。




秋の雑木林は、近くから眺めて楽しむものであると私は思う。そこに足を踏み入れてよいのは、普段の林を熟知した動物や少数の人に限られる。思わず手を触れたくなる真っ赤なツタウルシだが、かぶれたら大変!色鮮やかな落ち葉拾いにも注意して。




2011年10月13日木曜日

紫一点

ヤマリンドウの花が庭のあちこちで咲きはじめた。紅一点ならぬ、紫一点。軽井沢の紅葉は始まったが、まだ地面は苔の緑が青々しく、紫色の花を目に止めることは難しい。




いま紅く色づいているのは、松に絡みついたツタウルシや背の高い木々の天辺、気の早いドウダンツツジやニシキギだ。




瑞々しいギボウシの葉は冷気に弱いようだ。鮮やかに黄葉したのも束の間。今朝は霜にやられたように萎びていた。

ほとんどの植物が葉を落としてゆく中で、ひっそりと赤い花を咲かせたのは、マルバの木。庭には、このような変わり者が一人いてもいい。




毎日が静かに見えるが、秋の深まりを刻々と伝えてくれるのが食材だろう。林檎はつがるに始まって、シナノドルチェ、秋映、紅玉まできた。

2011年10月11日火曜日

秋晴れの日は、思い出の本と

旦那さんが思春期に読んでいた本が、実家から届いた。大きなダンボールにして7,8箱分はある。が、まだ全てではないという。




その人を知るなら、部屋のしつらえを見よ。そして、書棚に並ぶ本を見よとは本当だと思う。今日は、今まで知らなかった彼の一面を垣間見た気がして、嬉しくなった。

秋の一日というものは、穏やかさと緊張感が混じり合い、何とも言えない風情を醸し出してくれる。空の表情もこのようにさまざまだ。








そして、俳句で"月"という言葉が秋を指すように、お月見を楽しむのもこの時期が素晴らしい。




散歩をしていると、日向ぼっこをする小さな虫たちをよく見かけて。

2011年10月3日月曜日

美味しい秋

今シーズン初めて口にした、バターナッツというかぼちゃ。かぼちゃと言えば硬いもの。包丁を入れる瞬間は今でもおっかなびっくりなのだが、これは皮が薄く、扱いやすいので驚いた。




蒸したものをミルクと合わせてポタージュに。バターという名に相応ししく、濃厚なコクが病みつきになる美味しさだ。また食べたい!と思ってツルヤへ出向くが、お目にかかれたのはたった一度きり。

秋の味覚と言えば、果物も忘れてはならない。今年は葡萄も林檎もすこぶる出来栄えで、今の時期の私の一押しは、つがる。秋一番に出回るこの林檎を、今年はほど美味と感じたことはない。タイ料理にソムタムというパパイヤを使った前菜があるが、ここ信州ならつがるを代用しても。




ここにきて、日中の空気に緊張感が感じられるようになった軽井沢。地面を舐めるように照らす美しい日差しに導かれて、朝に夕に散歩に出れば、栗拾いというお楽しみが待っている。

赤坂 青野の栗大福も、この時期は特に美味しく感じられて。



我が家は今夜も、新米で栗ごはん!