2014年3月28日金曜日

春を想いながら...

一雨ごとに雪融けが進み、春がこちらへ近づいてくるようだ。昼間から濃い霧に包まれて、ライトオンして走るドライブさえ嬉しくなる。

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黒いシンプルなオーバルのトレイに季節感をプラスしたくなり、羊毛で春を表現。圧縮してフェルト化してしまうのは惜しく、ふんわりとした質感のままに仕上げた。傍らの茶色いポットホルダーに描いたのは、辛夷の花とふっくらした蕾。

春先にまっ白い花を咲かせる”辛夷”が特別な存在になって、10数年。我が家の辛夷も2月の大雪でだいぶ傷ついてしまった。だからこそ思うのだ、芽吹きの瞬間をあたたかく見守りたいと。

 

2014年3月21日金曜日

最愛の道具を磨く

今日は春分の日。その名の通り、冬と春が同居した一日であった。風は強く時折雪も舞い、浅間山も荒れている様子だ。

今日のような日は、まるで試験を控えた受験生のように、まずは身の回りを整えたい気分。日頃から酷使している木製のキッチンツールや、樹齢○○年というオリーブの木をくりぬいて作られた最愛のボウルに、ミネラルオイルをしみこませながら磨いていった。

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乾いた肌はすぐに艶を取り戻し、子供の代まで。いや、孫の代まで現役で活躍するのではないか?という機能美を感じさせてくれた。

2014年3月18日火曜日

里人の谷へ

週末は、南信州の秘境 遠山郷まで足を伸ばした。同じ長野県にありながら、あまりに離れた土地どおし。軽井沢からは、高速を乗り継いで約4時間の道のりである。数年前に一度、山肉を食べたいが為に日帰りで訪れて後悔したので、今回は事前に宿を確保したのんびり旅だ。遠山の魅力にとっぷりと浸かってみたい。

三遠南信道路 天龍峡を降りて、川下りで有名な天竜川ぞいの山道を進んでいくと平岡ダムに突き当たる。ダム近くの天竜川は、まるで時が止まってしまったかのようなマットなグリーン。この質感に慣れた頃に、勢いのある流れが突如現れ目が覚める。遠山氏のお膝元 秋葉街道和田宿を潤す、遠山川だ。冬枯れしていても、容易に想像できる渓谷美。

車で和田宿を一週したあと、南アルプス聖岳、光岳への登山口でもある高地”下栗の里”へ上がってみることに。急斜面に寄り添うかのように建つ民家、人が転がり落ちてもおかしくない断崖絶壁に畑。なぜこれほど険しい場所に人が…と首をかしげたくなる。が、高台に立つと、そんな疑問は吹き飛んだ。時刻は夕暮れ前、この絶景を毎日眺めながらの暮らしなのだ。ほとんどの若者は、学校を卒業するなり職を求めて都会へ出てゆくと聞く。しかし、晩年は必ずここへ戻ってくるそうだ。ほんもののふるさとって、こういうものなのかもしれないね。

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今宵の宿は、”島畑”。しまばたけではなく、しまばたと言う。囲炉裏を囲んで食べる山の幸は、質が高いだけでなくやさしさに満ちていた。

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極上の猪鍋に、DSC04177

珍しいカモシカの肉に、店主が漬けたリキュールの数々。傍らには食した動物の毛皮もちゃんと置いてある。命をいただくって、こういうこと。

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翌朝は、遠山氏の住まいであった和田城へ。ここからの眺めも素晴らしい。

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見れば、遠山には茶畑がいっぱい!長野県内でお茶を栽培しているのは、ここ一カ所なのだそう。赤石銘茶(南アルプスは別名赤石山脈と言う)として出回るほか、日当りの良い斜面を利用して、各々が”家庭用”に当たり前に茶を育てるという素敵さ。私の祖々母の時代は、日本のどこでもそうしていたと聞いたことがあるが、美しい景観づくりにも一役買って。

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日本離れした天空の里 下栗では、”二度芋”というこぶりで美味しいじゃがいもや蕎麦。少し下へ下ると、これまた美味なる茶が栽培されている。ここに、コンコンと湧き出る日本一の硬水(遠山氏の菩提寺に流れる観音霊水)や良質な温泉が加わるのだから、遠山の人々の肌は驚くほど美しい。

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山肉専門店 星野屋にて。

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もう少し大きくなったら、神と人が舞い遊ぶ霜月祭へ行こう。

 

 

 

 

 

 

2014年3月6日木曜日

大雪の爪痕

昨日の雨で、ずいぶん雪がしぼんだなという印象を受けたが、いやいやどうして。今朝、お隣さんの二階から我が家の屋根の様子を見させてもらうと、まだこんなに雪が居座っているではないか!

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家の北側は、落下した雪と氷が人の背丈ほどの山を作り、”この先 立ち入りを禁ずる”そんな言葉が大袈裟ではなく、ぴったりだ。今月のガスの交換時までには再び通路を築きたいところだが、そのタイミングが難しい。

あの大雪からそろそろ三週間が経ち、町は平静を取り戻したかに見える。が、その爪痕は深い。除雪作業は今なお続いているし、雪の塊を載せたダンプが見慣れた道路を行き交っている。一度春の陽気になったことで落雪のスピードが加速し、友人の家では薪ストーブの煙突が吹き飛ばされてしまったほどだ。

大雪は教訓だ。果たしてどんな家の作りがベストなのかを、本気で考えさせてくれる。

今日のランチは行きつけのボン・ヴィボンさんへ。裏メニューなんだけど、にんにくをたっぷりと使った雪掻きお疲れさんメニューなんてのもあって、嬉しい配慮がたっぷり。クスクスのサラダの中には新鮮なホタルイカが。ここにきて再び真冬の寒さ(明日の最低気温はマイナス12℃の予報)が戻ってきた軽井沢だが、春らしい色と味覚が嬉しい。

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2014年3月4日火曜日

羊毛の魅力

ここにきて、すっかり羊毛の魅力に取り憑かれてしまった私。色づけされたカラフルな毛もいいが、その前の”素”の表情は眺めているだけで、穏やかな心持ちにさせてくれる。

一口に羊毛と言っても、艶やかなメリノ、シェットランド、ロムニー、コリデール、巻き毛のゴットランド、サフォーク、カシミヤ(山羊)など、世界のあちこちで私たち人の為に育てられていることを知った。それから、これは毛というより糸になるが、シルクの光沢はやはり群を抜いて素晴らしいことも。

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初心者はまず、このボンボン作りからスタート。しかし、同じ大きさにするだけでも一苦労…。最初はこのボンボンを並べてコースターにしようと思っていたが、偶然生まれた石ころのような形が気に入り、急遽ネックレスへ転向。

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長さ調節できるよう革ひもをプルージック結び(クライミングで憶えたロープワークが、まさかこんなところで生きるとは!)で取り付けて、さぁ完成。フェルトがくれる、やさしい時間が嬉しい。

しばらくはこのような小物で羊毛と仲良くなり、いずれ大物に挑戦してみたいと思っている。

 

2014年3月3日月曜日

春を想う、朝食

日曜の明け方、春らしい湿った雪が降った。積雪は5センチほど。前回の雪と比べたらなんでもないように見えるが、このような雪は曲者だ。スコップや除雪機の歯にべたりと張り付いて、想像以上の労力と時間を要する。終えた後のワインが身体に染み渡る。

そして今朝もまた、薄らと雪がついた。落葉樹の枝先 冬芽に、自然と視線が注がれるような雪の仕草がいい。

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我が家にとって、この時期にしか味わえない朝の楽しみと言えば、これ。

今が旬の弓削瓢柑(ゆげひょうかん)のジャムを、滋野ブレッドにたっぷりとぬって…。至福のひとときだ。

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黄色い花と柑橘類を眺めながら、まだまだ先の春を想う。