今朝は、マイナス5℃まで冷え込んだ軽井沢。浅間山は今シーズンに入ってから数回は冠雪したが、まだ雪景色を留めるには至っていない。しかし、北アルプスはもう真っ白である。雪は見えずとも、キーンと張り詰めた冬の冷気が、窓一枚を隔てた空間に満ちている。
午後から読み始めた藤田宣永さんの「老猿」は、まさにこの時期にぴったりの読み物だった。ここ軽井沢で何度か冬を過ごした者なら間違いなく共感してしまうだろう、日常のシーンや不思議な出会いの数々。また、都会の喧騒を懐かしく思う一方で、移ろう季節の中での”庵を結ぶような生活”も捨て難くなるという贅沢な悩み。また、孤独というものにも次第に慣れ、その輪郭が曖昧模糊にぼけてゆく...といった、リアルな描写にも思わず納得してしまうのだった。
小説であるから、物語はもちろんフィクションである。しかし、読み進めていくと、半分以上はノンフィクションであってもおかしくないような。実際、ここに描かれていることはそこらじゅうで起こっているのではないか?と感じずにはいられなくなる内容なのだ。藤田さん自身も奥様の真理子さんと軽井沢に暮らしている(よくツルヤでお見かけする)ので、これほどリアルに描けるのだと思う。これから軽井沢で越冬される方には、ぜひオススメしたい本です。
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