玄関ドアの上に飾ったリースがキビタキの巣になって数週間が経つ。そこでは雌が休むことなく卵を抱いているようだった。キビタキは一夫多妻の鳥。色鮮やかな雄が様子を見に来るのは毎日ではなく、夕方になって雌だけが巣を飛び出してパッと食事を済ませる姿を何度も目にした。たった一人で、一日じゅう卵を抱くことは、果たしてどんな気持ちだろうか。私はそこに、母親としての強さを感じずにはいられない。

今日も、雄は来ていない。
朝、デッキでお茶を飲んでいると、リースのあたりから鳥の鳴き声が聞こえてきた。一度きりの、何かの合図のようだった。
そして、午後の2時、リースから身を乗り出した雌の姿と共に雛の小さな声が私の耳に届いた。キビタキの雄よ、どこにいる?今日の夕方は絶対に立ち寄るのだぞ。
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