今朝の軽井沢は冷えた。昨日の朝もマイナス11℃だったが、ひょっとするとそれを上回る冷え込みだったと思う。青白くて力強い月明かりがリビングの壁や床を照らし、夕方、久しぶりに外で飲んだ珈琲のカフェインが、いつもの眠りを浅くしていた。
時刻は朝の4時、薪ストーブに火は残っているはずである。しかし、この寒さでは心もとない。「こんな日もあるさ」と、思い切って起きてしまうことにした。ベッドから出ると、いやはや、なんという冷気。ペアガラスのスチール枠がかいた汗(結露)が、水滴の形を留めたまま白く凍りついているではないか。疑い様もない、外はマイナス10℃を超えている。
大きな薪ストーブに、これまた大きなナラの薪をくべる。扉を開けて酸素を得た途端に、たちまち炎が立ち上り、正面のガラス窓からは溢れんばかりの輻射熱が近くにある物を、人を暖めていく。ホットミルクを一気に飲み干した私は、あまりの気持ち良さにスポークチェアであぐらをかいたまま、暫くの間うたた寝をしてしまったようだ。今日はいつもより早めの新幹線に乗るのだと言っていた旦那さん。「布団にくるまっているよりも、ずっとこっちの方が快適だからおいでよ」と早起きを勧める。気づけば空からは月が消え、窓の外は照明が要らないほどの明るさになっていた。ストーブトップでこんがりとトーストを焼き、表面に粒マスタードとマヨネーズをたっぷりと塗る。そして、厚切りのロースハムを載せて、これが今日の朝食だ。
あまりの寒さに実現した早起きだが、いざやってみると、このゆとり。いいことばかりのような気がした。もう少ししたら、私のライフスタイルもガラリと変わるわけで、今のうちから身体を慣らしてしまうのも手である。
厳しい冷え込みも、朝の9時を回れば嘘のようだ。
そして、午後の陽だまりに包まれていると、今が厳冬期であることさえ忘れてしまう。
時刻はまだ13時を回ったばかり。たまには、上質な和菓子とお汁粉でもいただこうか。
掌にすっぽりとおさまる、最中でできた愛らしい壺に熱湯を注ぐ。すると、中から小豆餡が溶けだして千鳥や様々な雑穀が浮かんでくる。成城 風月堂の、なんとも楽しい”懐中志る粉”。
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