三連休を利用して、北陸へ旅に出た。ちょうど二年前のこの時期だったと思う。大きなお腹を抱えてあっぷあっぷしながら、特急はくたかに乗り込んだことが、まるで昨日のことのように思い出された。お腹の子は無事に産まれて、現在は一歳8ヶ月に。およそ初めての地とは思えぬ速さで、美術館の庭を休みなく駆け回っていることが嬉しい。しかし、小さな子を連れてアウェイを歩くことは、想像以上に大変なことだ。そのような中で、大人も子供も旅を楽しめたなら、最高。
前回は加賀の宿に泊まり、近江町市場に立ち寄ったくらいだったが、今回はどうしても行きたい場所があった。九谷美術館と二十一世紀美術館だ。
九谷美術館はその名の通り九谷の歴史を、色ごと(即ち、それが時代を表す)に見せてくれるユニークで贅沢な美術館。ランドスケープデザインも秀逸で、何時間でもいたくなる居心地の良さ。もちろん、プリミティブな庭は子供も大喜び!
二十一世紀美術館もまた、贅沢なパプリックスペースがあり、さすがは美術と”工芸”のまちだなーと感動。
こちらはタレルの部屋。ほんものの空をすっぱりと切り取る発想に脱帽!壁ぞいに座れるようになっていて、空だけを仰ぐという未体験の心地よさに陶酔する。
金沢は水路のまちである。城や城下町を守るために敷かれた水路がそこかしこに流れ、歩いていると、とても清々しい気分になるのだ。電力に乏しかった明治時代にはこの水の力を借りて、繊維業も盛んだったことを知る。群馬の富岡製糸の次ぐ規模だったそうだ。
図書館も、なんだかモダン。
雰囲気のある美味しいパン屋さんもあって。
赴きある城下町の風情と北陸の味覚、生活に根付いた工芸、そこにモダンなアートも加わって。じっとしていられない子供と一緒に歩いた怒濤の三日間だったけれど、いいものがぎゅっと集結したこの街が私は大好きになってしまった。終の住処は金沢?そんな夢を抱いてもいい。
素敵なファサードだなと思って横を通ってみたら、髪匠ですって。
近江町市場では、地物の活き”がすえび”と甘エビ、生たこや能登のへしこなどを。まちなかでは、山中塗のワインクーラーや水引細工、九谷の若手作家による酒器などを買って帰路についた。
翌日6日は加能蟹漁の解禁日だったようで、思えば嵐の前のちょっと静かな金沢・加賀だった。
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