2014年3月18日火曜日

里人の谷へ

週末は、南信州の秘境 遠山郷まで足を伸ばした。同じ長野県にありながら、あまりに離れた土地どおし。軽井沢からは、高速を乗り継いで約4時間の道のりである。数年前に一度、山肉を食べたいが為に日帰りで訪れて後悔したので、今回は事前に宿を確保したのんびり旅だ。遠山の魅力にとっぷりと浸かってみたい。

三遠南信道路 天龍峡を降りて、川下りで有名な天竜川ぞいの山道を進んでいくと平岡ダムに突き当たる。ダム近くの天竜川は、まるで時が止まってしまったかのようなマットなグリーン。この質感に慣れた頃に、勢いのある流れが突如現れ目が覚める。遠山氏のお膝元 秋葉街道和田宿を潤す、遠山川だ。冬枯れしていても、容易に想像できる渓谷美。

車で和田宿を一週したあと、南アルプス聖岳、光岳への登山口でもある高地”下栗の里”へ上がってみることに。急斜面に寄り添うかのように建つ民家、人が転がり落ちてもおかしくない断崖絶壁に畑。なぜこれほど険しい場所に人が…と首をかしげたくなる。が、高台に立つと、そんな疑問は吹き飛んだ。時刻は夕暮れ前、この絶景を毎日眺めながらの暮らしなのだ。ほとんどの若者は、学校を卒業するなり職を求めて都会へ出てゆくと聞く。しかし、晩年は必ずここへ戻ってくるそうだ。ほんもののふるさとって、こういうものなのかもしれないね。

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今宵の宿は、”島畑”。しまばたけではなく、しまばたと言う。囲炉裏を囲んで食べる山の幸は、質が高いだけでなくやさしさに満ちていた。

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極上の猪鍋に、DSC04177

珍しいカモシカの肉に、店主が漬けたリキュールの数々。傍らには食した動物の毛皮もちゃんと置いてある。命をいただくって、こういうこと。

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翌朝は、遠山氏の住まいであった和田城へ。ここからの眺めも素晴らしい。

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見れば、遠山には茶畑がいっぱい!長野県内でお茶を栽培しているのは、ここ一カ所なのだそう。赤石銘茶(南アルプスは別名赤石山脈と言う)として出回るほか、日当りの良い斜面を利用して、各々が”家庭用”に当たり前に茶を育てるという素敵さ。私の祖々母の時代は、日本のどこでもそうしていたと聞いたことがあるが、美しい景観づくりにも一役買って。

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日本離れした天空の里 下栗では、”二度芋”というこぶりで美味しいじゃがいもや蕎麦。少し下へ下ると、これまた美味なる茶が栽培されている。ここに、コンコンと湧き出る日本一の硬水(遠山氏の菩提寺に流れる観音霊水)や良質な温泉が加わるのだから、遠山の人々の肌は驚くほど美しい。

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山肉専門店 星野屋にて。

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もう少し大きくなったら、神と人が舞い遊ぶ霜月祭へ行こう。

 

 

 

 

 

 

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