2014年5月13日火曜日

静かな湖畔で...

ゴールデンウィーク後半の週末を、奥日光で過ごしてきた。八ッ場ダム建設の進む長野原町の辺りはちょうど芽吹きのラッシュ。忙しく流れる車窓からの眺めにハッとさせられ、記憶に奥底にとどめられるものなら…と何度思ったことか。高台に道路やトンネルが誕生したことで、今まで出合うことのなかった未知の領域に、足を踏み入れることができたのだ。果たしてこれが良いことか、悪いことかはわからない。が、天空の静かな暮らしを垣間見る。ただそれだけで、私には充分刺激的だった。

吹割の滝〜尾瀬(片品村)までは新緑が作り出す渓谷美にうっとり。風に揺れる山桜や山吹が、風景に色を添えていた。奥日光 中禅寺湖へ続く峠道には、この時期になってもまだたっぷりと雪が残っていて、丸沼ではスキーを楽しんでいる方も多かった。昔から、滝のあるところが観光地として栄えてゆく。これって、世界共通かもしれない。

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中禅寺湖畔に佇む、イタリア大使館の別荘跡地が公園になっているというので、ここで子供の”走りたい”欲求を満たすことにした。天気は小雨まじりの曇り。それがいっそう、広い湖を神秘的なものにしていた。

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別荘の設計は、アントニン・レーモンド。建築を”総合芸術”ととらえ、建物の内と外。そして、周囲の環境との調和を設計理念として掲げたことでも有名だ。その地方、地域特有の素材を積極的に利用し、間口いっぱいに広がる広縁から湖の眺望を存分に享受。どこかモダンで温かみのあるデザインに、世の建築家が魅せられてしまうのも頷ける。

私はこの日まで、中禅寺湖畔が避暑地であった歴史を知らないでいた。標高が1000mを超える高地であり、どことなく軽井沢に似ているような気もしたが、個人の別荘が林立するような雰囲気でもない。男体山の噴火活動によって劇的に地形を変え、湖や滝・草原や湿原(戦場ヶ原)が小宇宙を作っているエリアである。今まで日光と言えば、家康の眠る東照宮しか思い浮かばなかったが、中禅寺湖や男体山+湯元までを総称する”奥日光”は動植物の宝庫であった。これからは時間をかけて、その魅力に触れていきたいと思う。

また、中禅寺湖は水深が最高で163mもあり、マス釣りの聖地であることも知った。湖畔には、明治初期に欧米の外交官たちが余暇を過ごしたボートハウス(復元)も建っていて、当時の雰囲気に浸ることもできる。

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今宵の宿は、宮大工の技が光る畳敷きの和空間。

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地元の大谷石で仕上げる栃木牛のステーキや、料理長による創作椀を堪能した。

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客室の洗面コーナーで見た壁面。同じ面にコンセントを配さない、そのこだわりに感動!

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子供用にと持って来てくれた浴衣だが、残念!すぐにはだけてしまうので、一度も袖を通すことはなかった。

歳を重ねてくると、不思議。いつしか自国の文化に触れることが愉しみになっている。

 

 

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