2014年5月27日火曜日

初夏の陽気に誘われて

次々と夏鳥が訪れ、晴れた朝のなんと賑やかなこと。山は、命の輝きに満ちている。軽井沢より一足先に夏色に染まった小諸の丘に、ユニークなツリーハウスが誕生したというので、ドライブがてら見学に出掛けた。

ちょうどその日は、『小諸Tree House Project』のオープニングパーティの日であった。場所は、あぐりの湯の真上。正式名称を、安藤百福記念 自然体験活動指導者養成センターと言う。何度も舌を噛んでしまいそうな長いネーミングだが、急な斜面を登りきるとそこは雲上の楽園!山の斜面を切り取ったような、モダンでどこか親しみ易い三角屋根の建物は、隈研吾さんの設計でまたびっくり。

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そう、安藤氏と言えば日清の創始者で、カップラーメンを発明したお方としてあまりに有名。施設そのものは2010年にオープンしていたようだが、私自身はまったくノーマークだった。こんな巨人が鎮座していたなんて思いもよらず。

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森の中には、日本のアートディレクションを牽引しているような方々の、固定概念にとらわれないツリーハウスが、鳥や”蝶”の目線で点在していた。

佐藤可士和さんと佐藤オオキさんのツーショット。

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立食パーティの演出も、そこはさすがプロ。持てる技を全面に出さないところは草月の華道にも似て。森には、なんともいえない心地よい空気が漂っていた。

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一口サイズの料理の数々。どれもとっても綺麗で美味しくて、勉強になった!

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病み上がりの外出で、リラックスしている我が子。切り株に座ることがすっかり板に着いて。軽井沢も夏になるよ!しっかりと体力を戻して、そろそろ園に復帰しようか。

2014年5月22日木曜日

控えめな 桜吹雪

一日じゅう降り続いた雨が上がり、今朝は庭の木々が一段と大きくなった気がした。人にとっては冷たい雨でも、植物にとっては成長を促す恵みの雨。閉じた傘を広げるように、それぞれの葉は開き、お隣さんとぶつかりながら”今年の姿”を作り上げてゆく。

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朝7時のデッキ。雨の重みでしなだれた楓が、朝日を浴びてキリリと姿勢を正したよう。黒々としたデッキは、ウワミズザクラの白く小さな花びらでいっぱいになっていた。

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重なり合う葉は、鳥や虫たち(写真は、越冬したクロスズメバチの女王)のねぐらとなった。落葉樹って、ほんとうに凄い!

2014年5月19日月曜日

待ち遠しいな、露地野菜

今日も清々しい陽気に。朝、頭上から不思議な気配がして、見上げるとウワミズザクラの白い穂が風に揺れていた!こんなところからも見えるなんて、ずいぶん大きくなったものだ。

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あっという間に高木になってしまうので、この花を間近で見るのは難しいかもしれない。

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花は、サラシナショウマを柔らかく、やさしくしたような感じだ。

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ご近所さんが、どこかの農園でこんなユニークな苗ポットを見つけ、我が家の分まで買ってきてくれた。見れば、ひとつのポットに3、4種類の、サラダにぴったりな菜っ葉たちが入っているではないか。これ、今までありそうでなかった、アイディア賞もの。

軽井沢の露地野菜は本当に美味しい!だから、自宅で少し栽培してみるのもいいと思う。数年前に地植えしたミツバ・ねぎ・紫蘇は、この時期になるとしっかりと芽を出してくれて、頼もしい限りだ。寒さの厳しい軽井沢で越冬するのは、落葉樹や山野草だけではないよ。日本のハーブと呼んでいいような”薬味”野菜たちは、とても強くてびっくりさせられる。

2014年5月17日土曜日

山のかおり

一日の気温差が20℃!という寒暖の差が澄んだ空気を生み、高地の鮮烈な光が新緑を一層輝かせている。窓の先に広がる景色は、絵画を軽く飛び超え、うっとりするほどの美しさだ。人が少しだけ手を加えた風景は、自然のままの姿より親近感があるためか、どこかやさしく見える。

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ここはいつしか、”二輪草の谷”という名がついた場所。

日中の暖かさが、軽井沢のいたるところに自生しているウワミズザクラの開花を後押し。窓を開けると、北の庭で満開に咲くこの山桜の香りが部屋いっぱいに広がる。

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子供の通う幼稚園にも変化が。敷地内には山桜が沢山自生していることがわかり、桜の花びらでピンク色に染まった地面を駆け回る子供たちが、ちょっと羨ましい。抜けるような青空の下、お手製の雑巾が陽射しをいっぱい浴びていた。

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2014年5月13日火曜日

静かな湖畔で...

ゴールデンウィーク後半の週末を、奥日光で過ごしてきた。八ッ場ダム建設の進む長野原町の辺りはちょうど芽吹きのラッシュ。忙しく流れる車窓からの眺めにハッとさせられ、記憶に奥底にとどめられるものなら…と何度思ったことか。高台に道路やトンネルが誕生したことで、今まで出合うことのなかった未知の領域に、足を踏み入れることができたのだ。果たしてこれが良いことか、悪いことかはわからない。が、天空の静かな暮らしを垣間見る。ただそれだけで、私には充分刺激的だった。

吹割の滝〜尾瀬(片品村)までは新緑が作り出す渓谷美にうっとり。風に揺れる山桜や山吹が、風景に色を添えていた。奥日光 中禅寺湖へ続く峠道には、この時期になってもまだたっぷりと雪が残っていて、丸沼ではスキーを楽しんでいる方も多かった。昔から、滝のあるところが観光地として栄えてゆく。これって、世界共通かもしれない。

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中禅寺湖畔に佇む、イタリア大使館の別荘跡地が公園になっているというので、ここで子供の”走りたい”欲求を満たすことにした。天気は小雨まじりの曇り。それがいっそう、広い湖を神秘的なものにしていた。

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別荘の設計は、アントニン・レーモンド。建築を”総合芸術”ととらえ、建物の内と外。そして、周囲の環境との調和を設計理念として掲げたことでも有名だ。その地方、地域特有の素材を積極的に利用し、間口いっぱいに広がる広縁から湖の眺望を存分に享受。どこかモダンで温かみのあるデザインに、世の建築家が魅せられてしまうのも頷ける。

私はこの日まで、中禅寺湖畔が避暑地であった歴史を知らないでいた。標高が1000mを超える高地であり、どことなく軽井沢に似ているような気もしたが、個人の別荘が林立するような雰囲気でもない。男体山の噴火活動によって劇的に地形を変え、湖や滝・草原や湿原(戦場ヶ原)が小宇宙を作っているエリアである。今まで日光と言えば、家康の眠る東照宮しか思い浮かばなかったが、中禅寺湖や男体山+湯元までを総称する”奥日光”は動植物の宝庫であった。これからは時間をかけて、その魅力に触れていきたいと思う。

また、中禅寺湖は水深が最高で163mもあり、マス釣りの聖地であることも知った。湖畔には、明治初期に欧米の外交官たちが余暇を過ごしたボートハウス(復元)も建っていて、当時の雰囲気に浸ることもできる。

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今宵の宿は、宮大工の技が光る畳敷きの和空間。

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地元の大谷石で仕上げる栃木牛のステーキや、料理長による創作椀を堪能した。

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客室の洗面コーナーで見た壁面。同じ面にコンセントを配さない、そのこだわりに感動!

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子供用にと持って来てくれた浴衣だが、残念!すぐにはだけてしまうので、一度も袖を通すことはなかった。

歳を重ねてくると、不思議。いつしか自国の文化に触れることが愉しみになっている。

 

 

2014年5月10日土曜日

一年に一度

奥日光で休暇を楽しんだ帰り道の尾瀬で、山から届いたばかりの山菜を見つけた。

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旅の疲れは、いったい何処へ行ってしまったというのか。その日のうちに食べたい気持ちでいっぱいになり、コシアブラは頑張って天ぷらに。私が自宅で天ぷら料理をするのは、年に一度だけ!それがこの日になった。

ワラビは灰汁抜きをした後、おひたしに。飛魚で出汁をとり、繊細なワラビ本来の風味を損なわないよう調理した。

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山菜は、植物の芽吹きの瞬間をとらえたようなもの。これほど贅沢な山の野菜は他に類を見ない。標高1000mの軽井沢にも、ふきのとうに次ぐ山菜(たらの芽)がそろそろお目見え。春っていいな。

2014年5月4日日曜日

薫風

身も心も軽くなるような、初夏の陽気が続いている。後から咲き出した桜が呆気ないほどの早さで散ってしまい、春を告げた辛夷の白い花がまだ残っている。こんな春の風景、はじめて。

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我が家のシンボルツリーであるハルニレが芽吹き、朝から代わる代わる鳥たちが訪れている。庭には、微かな風に揺れる枝と、そうでない枝(例えばヤマボウシ)ものをしつらえてある。風の存在をさりげなく感じられるようにと。

風薫る5月とはよく言ったもので、この時期は特に再生したばかりの植物が発する、あのなんとも言えない香りがたまらない。

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家を取り囲む小さな庭の中でさえ、植物は絶妙な調和をとりながら生きている。花とて、誰の為に咲くものではないことを知る。またこうして巡ってきた春に、自らの役目を重ねて。