2014年11月25日火曜日

新しい鍋で

雪と氷に包まれる前のまとまった週末は、冬籠りの準備に大忙しだ。朝から晩まで、薪小屋の屋根の張り替え作業を着々と進める旦那さん。凝り性だから、今回はきっといいものができるだろう。小屋も薪棚も、立派なエクステリアだから…。

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私は、pace around のマルシェで見つけたアンティークの銅鍋をにんまりと眺めながら、ホットワインを仕込んで。王道をゆく由緒正しきレシピで作ったら、それそれは美味しい味になった。

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しかし、そんな土曜日の夜には長野県北部で震度6もの地震があった。軽井沢は震度3くらいだったけれど体感的にはかなり揺れて、3.11 を思い出すには充分。今からでも日頃の備えをしっかりして、慌てない暮らし方を模索したい。

 

2014年11月19日水曜日

冬がこちらへ

11月も終盤にさしかかると、信州のあちこちで今年最後の収穫祭が開かれる。一年を締めくくるのは12月ではなく、11月。これが、農作物の産地であり避暑地の素顔。

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春に続いて訪れた安藤桃福センターでは、色づいた木々に包まれたツリーハウスを眺めながら、地物の米や芋を味わった。薄らと雪のついた浅間山からの吹き下ろしは、小諸と言えどもとても冷たい。

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子供の通う幼稚園でも、昨日は家族を招いての餅つきが行われた。春は田んぼの代掻きから始まり田植え。秋の稲刈りやはざかけ、脱穀作業と子供たちみんなが関わってきた集大成でもある。

「これから”きなこ”のお餅を作るから、まずはみんなで”さや”から大豆を取り出してください。その後は豆を炒って、すり鉢で擦るよ」

気づいたら、私は豆を炒る係となっていた。冬空の下で煙に燻されながら、大きな鉄鍋をふるう作業はなかなかどうして楽しいではないか。出来上がったきなこのお餅は香ばしくてクリスピーで、人生で一番美味しい!と思えるくらい忘れられない味に。食べ物を作る側に一度でもまわったら、米の一粒も残せなくなる。この感覚を大事にしたい。

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我が家の食卓も冬仕様に衣替え。ご飯茶碗、冬はきっと土ものが良いのだろうけど、どうも私はつるりとした肌の磁器が好きで...。九谷の若手作家が、金沢の風物詩 雪輪を描いたものがお気に入り。この冬からは今まで眺めるばかりだった骨董の漆器も、どんどん使っていこうと思っている。

さぁ、明日もきっと氷点下の朝。今宵も煌めく星空を仰ぎながら、今日という日を締めくくる。

2014年11月8日土曜日

実りの秋でした

落葉が進んで、日を追うごとに空が開けてゆくのがわかる。寒さと引き換えに高地特有の強い陽射しが地面まで届くようになって、気温だけでは計ることのできない”冬の暖かさ”を感じることもしばしば。自然界の理には、ただただ驚かされるばかりだ。

イヴェントが目白押しの秋だが、今年はちょっと違った。作る側にまわる機会を得たからだ。幼稚園で初めて開かれることになったバザーに、私も少しだけお手伝いさせていただいた。会場に色づいた山の樹で季節感を添えたり、動き易く見やすい導線を考えたり、そんなことだったが、まるで学園祭のようでワクワクした。

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心が躍る感覚は、こんなところでも。どう形容したらよいかわからないほど美しい紅葉を目の当たりにしながら、コース仕立てのデザートをひとりで堪能した午後。

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エスプリの利いたパティシエが生み出すスイーツは、どれも作品の域!食べてしまうのが勿体ないくらい。

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奥日光と川治で過ごした週末も、紅葉とお天気に恵まれ豊かなものに。中禅寺湖の輝きは瞳の奥に焼き付く美しさだった。

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2014年10月31日金曜日

紅葉を目に焼きつけて

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昨日までの秋晴れは素晴らしかった!落葉樹の紅葉が終盤を迎えると、落葉松が黄金色に輝きだして、あれよあれよと言う間に町から”葉っぱ”が消えてゆく。

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だから、このときばかりは、地面を覆う落ち葉の乾いた音さえ愛しいものに...。

既に、明け方は氷点下の日も増えてきて、夕方には家々の煙突から薪ストーブの煙がたちのぼる。冬を間近に控えた、静かなる時の流れに感謝。

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庭のあちこちで、コナラの幼木も秋色に染まっていた。子供の年齢で言うと一歳くらいだろうか。葉を落としてその姿が見えなくなっても、来春また元気に会えるといいね。

2014年10月17日金曜日

忙しいキッチン

秋は実り。寒暖の差を味方につけた野菜や果実、海の幸が、毎日の食卓をより豊かなものにしてくれる。外出を済ませ、秋の陽射しを背中に浴びながら庭仕事で汗を流した後は、デッキでカフェオレを。私がキッチンに立つのは、薪ストーブを焚くまでの夕方だけ。そんな毎日だ。

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完熟した上質のプルーンというものは、非常に扱い易い食材だということがわかった!

種は、いとも簡単に外れてしまうのだ。

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皮付きのまま煮込んでみたら、ご覧の通り色鮮やかなフルーツソースに。色だけではないよ、リキュールを忍ばせたかのような上品な香りを纏って。

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じゃがいももいろいろあるけれど、”インカのめざめ”という品種は凄かった。ホクホクでモチモチとして、とーっても甘い!

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鮭もいい。この時期ならいくらと白子。

そして、何と言っても最後のレタス類の美味しさと言ったら…。農場で働く友人がもってきてくれたサンチュはしっかりとしていながら口に運ぶとふんわりとした柔らかさで、じゅわっと旨味が広がった。いくらでも食べられる!こんな感覚そうそうない。

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こんなに美味しいものばかりを食べて、秋という季節は、罪。

2014年9月30日火曜日

例年より早く

紅葉がはじまった。連日の秋晴れと寒暖の差が色づきを加速させているようで、今年の場合は、気をつけていないと紅葉の盛りを見逃してしまうかもしれない。

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子供の昼寝ちゅうに、私は庭の手入れへ。ほんの少し手を入れてあげるだけで、庭というものはグッと魅力的になるからやりがいがある。

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秋と言えば、秋明菊かな。ピンクもいいが、この純白には襟を正される気がして。

2014年9月22日月曜日

牧場が身近なものに

気持ちのいい秋晴れが続いている。気がつくと二週連続で牧場へ出掛けていることがわかり、こんなことは大人だけの暮らしでは、まずあり得なかったと痛感!小さな子供が導く世界に感謝したい。

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極上のパウダースノーを求めて真冬になると車を走らせてきた、高山村のYAMABOKU。スキー場の斜面に牛が放牧されている風景を、今回初めて見た。のどかで、いいな。

しかし、我が子が帰りたくないとダダをこねたのは、こちら。

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草原にトラクターが点在する長門牧場だ。いまは、動物より何より”乗り物”な気分。

秋の週末は、いたるところでマルシェが開催されているのも嬉しい。今まで知らなかった食材との出合いに、お財布の紐は緩むばかりだが…。

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トンボの湯 もみの木広場では、軽井沢マルシェが。旬の葡萄(ナガノパープル・巨峰・シャインマスカットなど)や林檎が食べ比べできたり、信州サーモンに舌鼓を打ったり、香り高いデニッシュを頬張ったりと、これもみな素晴らしい秋晴れのお陰。

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多くの観光客で賑わうハルニレテラスにも粋な演出が。一段下がった川沿いのテラスに、紅葉図書館なるものを見つけた。大きなハルニレの木の下で読書だなんて、素敵。

2014年9月18日木曜日

肌寒い朝

今朝の寒さは今までとちょっと違った。毛布を何度も頬まで上げて、なかなか起き上がることができないのだ。いよいよ来たな、一桁台!

朝露でしっとりと濡れた木々と冷たい空気に、近づく冬を感じて。”山の樹の寄せ植え”も、見ればドウダンツツジの一枝が紅く色づいているではないか。秋はこうして、やってくる。

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この時期に空から降ってくる葉っぱは、子供にとって不思議なもののひとつなのだろう。今まで観てきた緑色がいつしかずいぶんと色褪せて、柔らかくなった。小さな子供たちがほうきやソリや雪掻きを片手に落葉掃きを楽しむ姿は、来る冬への予行練習にも見えて、なんとも微笑ましい。

2014年9月8日月曜日

華麗なる 木の実

トチの実は、なかなか手の出せない食べられる木の実のひとつだ。もう何年前だったか、オークヴィレッジを訪ねた際に立ち寄った集落で、”とちの実煎餅”なるものを食べたことがあった。その場で焼き上げられた熱々のそれは、香ばしくて滋味深くて、今でも忘れられない味わい。風に揺られて地面に落ちているこの実に出合う度に、あぁ、あの味をなんとか再現できないものか?と考え込み幾つかを持ち帰ってしまう。なかなか手を出せない理由は、非常に強いアク。清流に数日間浸してアクを抜くといいなんてあるが、自宅の敷地内に川があるわけでもないし、難しい。

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こうして眺めているだけでも、ほっこりとした気分になるから、実の持つ力って凄いね。

気づけば今夜は、中秋の名月!薪ストーブの煙突掃除もDLDによる華麗な仕事さばきで完了。深まる秋への準備を着々と整える。

2014年8月29日金曜日

野菜も果物も

ここにきてぐっと冷え込み、一気に秋めいてきた軽井沢。一昨日などは最高気温がたったの15度!深い霧に包まれ、それはそれは肌寒い一日だった。薪ストーブに手が伸びるのも時間の問題で、まだ8月なのになと思う。が、いやいやどうして、これが昔ながらの軽井沢だ。7、8年前までは、我が家も8月中に薪ストーブを何度も焚いて暖をとるのが普通であった。この3年くらいが異常に暑い夏なのだ(と、思いたい)。

30度近かった最高気温が、あっという間に20度を切るようになり…しかし、晴れた日はその陽射しが”熱く”感じられるほどだから不思議だ。この感覚、久しぶり!低い位置から舐めるように照らす高地の力強い陽射しが見方してくれるからこそ、厳しい寒さも乗り切ることができる。

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野菜も果物も、ほんとうに美味しくなるのはこの時期。毎日の食卓には、思わず絵筆を握りたくなるような美しさや野趣あふれる果物が所狭しと並ぶ。

赤と黄色 二色のパプリカをじっくり炒めて煮込んだトマトソースはごちそう。

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今宵は複数のチーズをたっぷりと敷いたピザ。

具材は、旬を迎えた川中島白桃に生ハムと九条ネギを合わせたものと、パプリカたっぷりのトマトソースをハーフ&ハーフで。桃と生ハム、九条ネギは生地が焼き上がってから載せて、その鮮度をいただきます。

 

2014年8月20日水曜日

この季節を謳歌するに充分な

今年のお盆休みは毎日が雨(それも時に非常に激しく降る!)という、少々残念な陽気で幕を閉じた。一年のうちで、この町が最も賑わい潤うときで、遠くからいらした方々には申し訳ない気持ちに...。しかし、それまでの酷暑からは幾分解放され、例年より蒸し暑いとはいえ、避暑地らしい涼感が漂ってくれたことが幸い。主要道路も、これまで私が経験してきたお盆休みの中で、過去最高の混雑を見せたように思う。国道18号、農協通り、中部小通り、北軽への一本道はいつものこと。だが、今年ほど裏道を駆使し余裕を持って出掛けたことはないように感じるのだ。そして、例年なら静けさを取り戻すお盆開けのこの時期になってもまだ、依然として夏休みの混雑は続いている。

我が家も今年は”夏休み”という感覚が毎日のようにあって、それは子供が幼稚園へ通っていることが影響していることに、今更ながら気づいた。社会人になれば、夏休みは通常お盆の一週間であり、まるまる一ヶ月の休みなどあり得ない。軽井沢の小・中学校は極端に短く、たしか今日あたりから二学期がスタートするとか。全国的に、8月いっぱいは夏休みと思ってきた私には衝撃的だった。

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大好きなセゾン現代美術館には足繁く通い、今シーズンからスタートしたカフェの美味なる朝食をひとりで食べに行ったり。

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標高2000mの美ヶ原高原(美術館の敷地内)では、至れり尽くせりの極上キャンプを楽しむ機会に恵まれた。

友人主催の心温まるBBQでは、新しい友達もできて。

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近くの別荘地で開かれたマルシェに出店してみたり。

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ストライダーカップに参戦するために安曇野まで出向いたりと、イヴェントが目白押しの日々が続いている。

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我が子にとっての夏休みは、まだ二週間近く残っている。ただでさえ短い軽井沢の夏!この季節を謳歌するに充分な時間があっていい。

2014年8月8日金曜日

真夏の揚げ物

昨夜の雷雨で、それまでの暑さや乾燥から解き放たれたような、今朝の軽井沢。台風の影響もあり、今日から週明けにかけてはぐつついた天気になりそうだ。

恒例のBBQは7月末に開かれたが、今回はメインとなる料理を取り寄せたり、旦那さんが前日に仕上げたスモークをつまみにしたりと、当日の私は随分楽をさせてもらった。じっとしていられない2、3歳児の集まりを考慮してのことだが、正解だったかなと思う。

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一週間ソーミュール液に漬け込んだ後、一日かけてじっくりとスモークしたベーコンは、林檎のチップなどを使用した繊細な香りに包まれて。

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カスターニエのローストチキンは、焼き上がりの熱々をテイクアウト。素人にはとても真似のできない、皮のパリパリ感がたまらない。

本当は、パーティ当日に熱々を出したかった揚げ物がこちら。

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夏野菜(ズッキーニや茄子)と蒟蒻を素揚げし、バルサミコに薬味を加えたソースをまわしかけていただく、片岡さんのレシピ。これ、れんこんチップスが、すごくいい仕事をしてくれるんですね。ところが当日は、野菜を切ったところでバッタバタに。揚げるタイミングを完全に見失った私は、翌日、自分ひとりだけの為にこの料理にとりかかり、完成を見ることになった。夏野菜を味わうにはとっておきの一品で、皆さんに味わっていただけなかったことが残念!当日の段取りってホントーに難しいのですが、来年は頑張って大人のパーティにしたいと思う。

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庭のヤマユリが、今年はパーティの翌日に花開いた。

夏は畳。山から届く風が心地よい。

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2014年8月7日木曜日

大人も子供も

今年の暑さはやはり異常かな、と思う。最高気温が30度という日が、いったい何日続いているだろうか。ここは標高1000mの高地である。なのに、なぜ…。我が家のリビングは、昨日初めて33度を記録!熱中症になるのを恐れて車で出掛けたり、木陰で過ごしたり、こまめにシャワーを浴びる毎日だ。

つい最近までほとんど昼寝をしなかった子供が、午後3時くらいから眠るようになった。さすがにこの暑さは身体にこたえるのだろう。子供が昼寝をしてくれると、ひとりの自由時間を与えられた喜びで、ついつい頑張りすぎてしまう性分だが、この酷暑は”非常事態”と考え、怠け者に徹することにした。自らを守るために。

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黒玉スイカを丸ごと一個買ったのも、生まれて初めてのこと。お友達を招いて、みんなで頬張った。スイカは野菜。だから、どれだけ食べても大丈夫。

蒸し暑さに比例して増えてくるような予感がする、蚊の存在。散歩の途中で、色づいたマルバノキの葉を見つけた我が子。サンダルを脱いでリビングで真っ先にしたことは、蚊に刺された箇所にこの葉を絆創膏のように貼ることだった。効き目はありそう?

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「日本は、いやこの星は、いったい何処へ向かっているの?」

ウジタ ジュンさんの繊細で完成度の高いスイーツに舌鼓を打ち、至福の時間を味わったばかりなのに、僅か3年、5年先の気候も想像できないような現状に不安がよぎる日々。困ったな。

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2014年7月27日日曜日

今日もどこかで

昨日から、暑さの質がガラリと変わった軽井沢。最高気温は30℃!朝も8時を過ぎれば、強い陽射しが肌をじりじりと焦がしてゆく。日本のあちこちで、人の基礎体温を超える酷暑に見舞われているというから、軽井沢で暑い暑い!などと言うのは贅沢か。しかし、お店などでは午前中からクーラーを入れなければ、この日中の暑さに太刀打ちできないほどだ。クーラーそのものが不要だった避暑地が、避暑地でなくなる危機を感じる。

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陽射しの照りつける間はまるで耐暑訓練のようで、いかにして涼を呼ぶかに奮闘している我が家だが、午後4時をまわれば少し楽に。そして午後7時にもなれば極上の空気が辺りを満たし、22時には窓をひとつふたつと閉めてゆき、これほど暑かった日でも眠る時は長袖と毛布というスタイルだ。たった一日のうちにすべての季節が凝縮しているような荒々しい一日だが、これも標高と、土と水と樹が織りなす恵みだ。これを肝に命じなければいけない。

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軽井沢の夏は楽しい。いつもは静かで小さな町なのに、この時期ばかりは不思議なほど都会の風が吹き、土地の恵みと融合する。今日もどこかでいい音楽が流れ、人々が交流しお互いにとってのいい刺激を受けて一日が幕を閉じてゆく。この町のような都市と地方のいい関係が、南北に長い日本の中にもっとできたらいいのにな。

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わずか一週間前の眺め。薪小屋の前で、トリアシショウマが一際存在感を放って咲いていた。1mを超える高さとこのボリュームは、あたかも最初からあったかに見える。が、これが何にもない地面から、たった二ヶ月ほどで成長したものなのだから凄い。見えないところでエネルギーを蓄えて、満開に咲き、晩秋には跡形もなく消えてゆく。

明日はどんな夏の一日になるだろう。夏の庭が刻々と秋へカウントダウンしていることを、心の片隅に置いて。